Instagramフォロワー約50万人を誇るアパレルブランド、17kg。いち早くインスタコマース市場に参入し、圧倒的な成長を続けている背景にはどのような戦略があるのか?
弊社代表の大槻が、株式会社イチナナキログラムCOO 秋山洋晃氏にInstagramをフル活用した事業戦略について聞いてきました。
目次
目次
- インスタハックが出発点の事業戦略
- 50万フォロワー獲得までのプロセス
- InstagramとECの将来
- 17kgがブランドとして目指す世界
■ Instagramほどユーザーの熱量が高いプラットフォームはない
FinT CEO大槻祐依(以下、大槻):まずは、17kgを立ち上げた当初のお話を聞かせてください。
イチナナキログラム COO秋山洋晃氏(以下、秋山):普通の会社だと最初から何か売りたい商材があって、次に売る場所を決めると思います。僕らは逆で、めちゃくちゃきているプラットフォームであるインスタをいち早くハックしようというのが先にありました。インスタで売れるものは何かを考えて、商材問わずたくさんのショップを立ち上げた結果、一番エンゲージメントが高かった韓国風×プチプラ×レディースファッションの領域に事業を絞りました。
大槻:他のマーケティングチャネルは検討していましたか?
秋山:考えていませんでした。インスタって、他のSNSより再現性を持って伸ばせるプラットフォームだと考えています。例えばTikTokはコンテンツドリブンで、一般人も一発当てられるためユーザーを獲得できていますが、フォロワーが多くても閲覧されない確率が高いんですよ。
YouTubeは動画の企画が勝負となるため、すごく属人的なメディアだと思いますね。そういった考えがあったため、メディアを使ってアパレルを売るとなるとwebかインスタを検討したのですが、やはりインスタの方が初速がつくと思いました。
大槻:今ではECと聞いたら一番最初に17kgが出てくるくらい、圧倒的にインスタをハックしている感じですよね。17kg立ち上げ当初の頃(2017年6月)を思い出すと、DtoCという言葉さえもあまり流行っていないし、インスタとECの相性の良さも注目されていない時代だった印象があります。そんな中、なぜインスタに絞ろうと決めたんですか?
秋山:そんなに難しく考える話ではなかったですね。大きな流れとして、みんながスマホを持つようになったら画像ベースのコミュニケーションになるよね、とは思っていました。あとは実際に自分でインスタを使ってみて、素人があげた写真ですら100いいねがつく体験にびっくりしたんです。とにかくユーザーの熱量、エンゲージメントが高いメディアですよね。twitterだとフォロワーに対するエンゲージメントが1%を超えたら良いコンテンツだと言われますが、インスタだと10%、下手すると20%超えになってきます。

■ 50万フォロワー獲得までのプロセス
大槻:今では17kg以外にも複数のブランドでインスタを運用されていますよね。複数のアカウントを成長させるために、どのような戦略を取られていますか?
秋山:まずは1個目のメディアである17kgをちゃんと伸ばすことを重視しました。ひとつ強いメディアがあると、その周辺領域を取るのは意外と簡単なんです。17kgを突き抜けて伸ばしてエンゲージメントを高め、そこから周辺に送客する流れを作りました。
大槻:なるほど。初期の17kgはどうやって伸ばしたんですか?
秋山:投稿数、投稿時間、投稿内容を重視していました。立ち上げ当初は、インスタのアルゴリズムが今と全然違っていたんです。量を投下する人が得なルールになっていたので、とにかくたくさんの投稿を行いフォロワーを獲得しました。
投稿内容に関しては、当初はモデルさんを使って撮影をしていたんですが、顔出しがない服だけの画像よりもエンゲージメントが悪いと判明し、服だけの画像を投稿するようにしました。僕らの中には「お金をかけてちゃんと撮影した写真の方が良い」という仮説があったんですが、結局ユーザーは「服に没入する」ことを求めているんですよね。服の写真で顔が見えると、結局そのモデルさんが好きか嫌いかがエンゲージメントに寄与してしまいます。
大槻:確かにそうかも…。現在の50万フォロワーを獲得するまでにはそんな紆余曲折があったんですね。
■ 何を売るかではなく、何が売れるかが重要。全てはユーザー起点で考える
大槻:投稿からコンバージョンをさせる観点では何を意識していますか?
秋山:これも考える順序が逆で、コンバージョンするものを売る、という認識です。無理やりコンバージョンさせようとしてもできないので、とにかくいっぱい商品を出して売れるものを見つけ、それをさらに売っていきます。売れる商品は、画像の角度やカラーバリエーションを変えて繰り返し投稿し、ショップ内でも上位に掲載します。とにかく、「何を売るか」は全く重要ではなく「何が売れるか」の基準で決めるのが肝です。

■ Instagramを通じて誰でも簡単にモノを売れる時代へ
大槻:ECを運営する上で、インスタを利用する強みは何だと思いますか?
秋山:結局、商材ベースだと思います。例えば、コンプレックス系の商材をインスタで無理やり売るのは違うんですよね。インスタでは基本的にキラキラ、可愛い、綺麗といったポジティブな感情が動いているので、そういう商材を扱っているのであれば非常に相性がいいのかなと思います。
大槻:最近のインスタユーザーのトレンドで気になるものはありますか?
秋山:そもそも投稿しない人が増えてきて、ストーリーズからの流入が頻繁に起こるようになってきた実感はあります。あとは、文字ベースの画像など情報量の多いコンテンツが多く出てきていますね。
大槻:そうですね。今は特にコスメやダイエット関連で文字入りコンテンツが流行っているんですが、これからどんどん他の分野にも広まると思っています。
他にはどのような流れがインスタで起こると考えていますか?
秋山:インスタに限らず、サービスは最初シンプルから入ってどんどん複雑化していく流れがあります。インスタでは最近ECとしての使い方が増えているので、ショップ側や決済側の機能が絶対に充実していくと考えています。僕らはアプリを作っていないし、エンジニアも0名なのですが、そういうのがベーシックになるんじゃないかと。文字通り誰でも簡単にショップを作って、マーケティングできる世の中になるので、中小企業やライジングセラーと呼ばれる個人がどんどん台頭してくると思います。

■ 日本発のブランドとしてグローバルを目指す17kg
大槻:そうなると競合も増えてくると思うのですが、17kgはどのような戦略で勝っていこうとしているんですか?
秋山:新興企業が競合になるとはあまり考えていません。どちらかというと、昔から韓国資本で日本に進出しているレディースファッション企業がライバルですね。なので、今後はちゃんとブランドとして動いていくことが重要だと思っています。具体的には、オリジナル商品を増やす、モデルさんを増やす、リアル店舗を作る、TGCに出る、などですね。結局、単なるメディアとブランドは全然違うんです。数百億後半くらいの桁感でユニーン企業を作ろうとするとメディア単体では絶対に厳しいので、僕らはそこにブランドをつけて勝負したいです。
大槻:なるほど。扱う商材は今のままですか?
秋山:将来的にはコスメの売上比率をもっと上げたいですね。コスメだと、サブスクリプションに近い形でお客様と継続的な関係性を維持できるので、より利益が出る分をさらに還元できるようになります。それをやりきって3年以内に100億の売上を作り、その先は海外で日本発のブランドとして売りに出るのが夢ですね。
大槻:かっこ良すぎる…。絶対に達成できると思います!めちゃくちゃワクワクしています。秋山さん、本日はありがとうございました!
インタビュー:株式会社FinT
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