商品のPRや売上向上の目的で、Instagramを利用している企業は数多くあります。しかし、「実際Instgramマーケティングにはどのようなメリットがあるのか?」や「人気アカウントにするための運用方法がわからない」といった疑問もよく耳にします。
今回は、運用開始から1年で10万フォロワーを獲得してサービス成長に繋げたLEAN BODY 石井翔さんにインタビューを行い、Instagram運用成功の秘訣をお聞きしました。
▼ 目次 ■ 10万フォロワーを突破して見えたメリット ■ 徹底したユーザー理解に基づく細かな仮説検証プロセス ■ 長期的な目線でのInstagram運用
目次
■ 運用開始からわずか1年で10万フォロワーを突破。そこで見えてきた予想外のメリットとは?
LEAN BODYのサービスとInstagramについて簡単に教えてください。
LEAN BODYは、忙しくてジムに通う時間がない女性をメインターゲットとした、フィットネス動画が見放題のオンラインサービスです。Instagramでも同様にインストラクターさんのフィットネス動画を投稿し、運用開始から1年で10万フォロワー獲得を達成しました。現在は12.2万フォロワーにまで拡大しています。
そもそもどのような目的でLEAN BODYのInstagram運用を始められたのですか?
2018年3月にLEAN BODYのサービスをリリースし、認知拡大のためwebのスモールバージョンという立ち位置でInstagramの運用を開始しました。
広告だと予算をどれだけかけられるかでリーチ数が上下してしまうため、それ以外の方法で一定以上の人数にリーチできる手段としてInstagramを選択しました。結果としてフォロワー数を10万人以上にまで伸ばせたため、認知拡大という当初の目的は大方達成できた状況にあります。
もともと期待されていたユーザーへの認知拡大以外の点で、Instagramアカウントの成長によるメリットは何かありましたか?
当初はすべてこちらからインストラクターさんに依頼する形でプログラムを作っていたのが、認知が広まってからはインストラクターさん側から「LEAN BODYに出演したい」と声をかけていただくようになりました。さらには、オンラインでの動画配信という枠を越えた、新たなビジネス展開のチャンスも出来つつあります。
実際、あるインストラクターさんが自分のスタジオを新しく開業する時に、LEAN BODYと一緒に何か新しいことができませんかと提案してくれたんです。そこで、そのインストラクターさんのフィットネス動画を一緒に作成して、そのインストラクターさんがいない時でもジムで動画を真似しながら体を動かせるサービスを提供することになりました。
このように、リアルな場所とオンラインを融合させたサービスも実現できるようになってきています。
ユーザーからサービスに対する要望がDMで送られてくるようにもなりました。「こういう動画や機能が欲しいです」「この動画良かったです」といった声が頻繁に届くようになり、社内の会議でも、今サービスを実際に使っているユーザーからの確かな意見を元に議論することが可能になりました。
なるほど!Webでしか接点がない場合だと、わざわざお問い合わせフォームまで行って意見を送る必要があるので、だいぶハードルが上がってしまいそうです。DM一本でコミュニケーションが取れるのはとても良さそうですね。

■ 「脂肪燃焼」より「太もも痩せ」でエンゲージメントが数十倍増。急成長の背景には、徹底したユーザー理解に基づく細かな検証
ここからは、Instagramアカウント成長のために実施した具体的な改善方法についてお伺いしようと思います。実際どのような施策によって、現在の12万フォロワーに到達されたんですか?
大きく分けて、投稿回数、ハッシュタグと発信内容、伝え方の三方向による改善を行いました。まず投稿回数についてですが、私がLEAN BODYにジョインした7月時点では週3回で投稿していたところを、週7回のデイリー投稿に変更しました。
週3回と週7回の投稿では何が変わってくるんでしょうか?
デイリー投稿するメリットは2つあります。
1つ目は、リーチ数が増えることです。単純に、3つ投稿するよりも7つ投稿した方が届くユーザー数も違いますし、何か施策を打った時の効果検証スピードも変わってきます。
2つ目は、エンゲージメントの向上です。週3投稿の場合、ユーザーから見ていつ投稿が行われるのかわからない状況になってしまうんですね。一方でデイリー投稿を行うと、「このアカウントは毎日何かしらの有益な情報を発信してくれるんだ」と思ってくれるようになるので、ユーザー側からフィード投稿やストーリーズを見に来てくれる流れができます。
たしかに、毎日投稿してくれるんだと思うと自分の一日の生活習慣に組み込まれる感じがしますね。
LEAN BODYでは19時にフィード投稿、21時にストーリーズ投稿をすると決めています。仕事終わりの方に、電車の中などでフィード投稿から「今日はこんなレッスンを投稿してるんだ」と確認してもらい、帰宅して落ち着いたタイミングで再度ストーリーでお知らせをして動画を見てもらう仕組みになっています。
ユーザーの生活にサービスを徹底的に落とし込まれているんですね。2つ目の改善である、ハッシュタグと発信内容に関してはどのような改善をしたのですか?
まずハッシュタグに関しては、昨年夏まではずっと31個固定でやっていたところを、毎回の投稿によってタグを付け替えるように変更しました。10〜15個くらいは、「#ダイエット」のような広めのタグをつけて、残りは「#太もも」「#腹筋」などの動画で出てきた部位に合わせたオリジナルのものをつけるようにしたんですね。この調整を繰り返して、人気投稿としてハッシュタグ検索結果の上位に載るようになってからは、フォロワー数も伸び始めるようになりました。
発信内容に関しては、季節や部位がエンゲージメントに効いてくる変数であることが検証を通じて分かりました。以前はランダムで部位を選んで、万遍なくフィード投稿をしていたのですが、昨年の冬に部位特集という形で1週間投稿を縛る企画を実施してみました。
その際、ストーリーズを通じたアンケートで「この時期一番気になる部位はどこですか」とユーザーに直接聞いた結果から、上位4つくらいにランクインした部位についての特集を組むことにしたんです。すると、エンゲージメントとデイリーのフォロワー増加数が3倍に増えました。
こちらで何が流行っているかを考えても良いのですが、実際にユーザーに聞いてしまった方が早くエンゲージメント向上が期待できますね。
では、投稿の伝え方に関してはどのような改善をされたのでしょうか?
トレーニング動画のサムネイルに入れる文字を、最初はヨガのポーズ名や、ロシアンツイスト(腹筋のトレーニング)といったトレーニング名にしていたんです。しかし、LEAN BODYを知っている自分たちからすれば名前のみでも簡単に動作のイメージがつく一方で、馴染みのないユーザーには伝わりづらいのではないか、と気づいたんですね。
そこで、サムネイルに「歪みの解消」のような効果・効能を書くようにしたら、それだけでエンゲージメントが10倍以上変わったんです。サービス内容の説明をインスタユーザーがわかりやすいように変換することが大事だと分かりました。
また、以前に「脂肪燃焼ダンササイズ」として投稿した動画を、気になる部位のアンケート結果を踏まえ、「太もも痩せダンササイズ」としてハッシュタグとサムネイルだけ変えて投稿し直したんです。すると、脂肪燃焼の方は投稿からの流入によるフォロワー数増加が1桁台だったのが、太もも痩せになると一気に600フォロワー増になり、エンゲージメントも数十倍増加する結果でした。
インスタのユーザーが何を求めているのかを理解し、サムネイルによる伝え方を変えるだけでも全然エンゲージメントが違ってくるんです。
これまで色々な改善施策についてお伺いしてきましたが、実際は施策を打っても効果が出るまでに時間がかかったり、時には上手くいかなかったりすることもありませんか…?そのような場合には、どういう捉え方をして辛い時期を乗り越えていますか?
昨年の冬に、フォロワー数の伸びが想定よりも半分くらいだった時期がありました。と言うのも、30日同じような投稿を続ける企画を初めて実施してみた結果、思うようなエンゲージメントが獲得できなかったという背景でした。
しかし、その時は「これは新しいチャレンジだから、実際にやってみないと成功するかどうかは分からない。もしフォロワー数が伸びなかったとしても、とにかく30日やりきろう」と最初から決めていたんです。途中で諦めてしまうと、その施策の本当の効果が分からず検証できなくなってしまうので。
実際1ヶ月間その企画を行なってフォロワー数が伸びない中でも、新たにできるようになったこともありました。ストーリーズを駆使してユーザーとのコミュニケーションを試みたり、「こういう人を目指しましょう」とインフルエンサーを紹介してモチベーションupを図ったり、新たな施策の方向性が見えてきたんです。苦しい中でも、皆で「さあどうしよう」と施策を出していったからこそ出てきたアイデアです。
Instagramだとストーリーやライブ配信、フィード投稿、インフルエンサーなど改善手段もたくさんあるので、一時的なフォロワー増加や減少にとらわれすぎず、最初に決めた期間の間は施策を全部やり切る、そしてやり切ってから効果を検証するのが大事だなと思います。

■ フォロワー増加と顧客獲得はフェーズをはっきり分けて、長期的な運用に取り組むべき。ストーリーズ、ライブ配信でユーザーとのコミュニケーションを活性化
一つ一つの施策をやり切るからこそ、その後の可能性の幅も出てくるんですね。それでは、今後はLEAN BODYのInstagramをどのように運用しようと考えていますか?
これまでは、主にフォロワーを伸ばしていこうという施策でしたが、今後はLEAN BODYのwebとinstagramの間でのユーザの循環を作ることに注力していきたいです。これまでInstagramでサービスのPRはほとんどやっていなかったのですが、最近ではストーリーズでサービス紹介をしたり、ライブ配信を始めたりもしています。
普段のフィード投稿では30秒〜1分くらいの動画を出しているのですが、ライブ配信ではフル版の動画をスタッフと一緒に見て体を動かしてもらい、LEAN BODYのサービスの中身を知ってもらえるようにしています。ライブ配信では「最近ここが太っちゃって気になります」といったコメントがユーザーからリアルタイムでもらえるので、コミュニケーションの場としても役立っています。
Instagramでweb内の動画や機能を紹介してサービスに興味を持ってもらい、登録してくれたユーザーにもInstagram上で新プログラムのリリース情報やアンケートを行うことで、webとInstagramの循環を実現し、コアなファンを増やして行きたいです。
フォロワー増加と顧客獲得の段階を明確に区別しているということでしょうか?
そうですね。最初はとにかくユーザーが有益な情報を得るためのアカウントとして、ブランドイメージを作りながらフォロワー数を伸ばそうという方針だったので、あまりサービスに誘導するようなことはしていませんでした。一時期ストーリーズ投稿でサービスのリンクを流していたこともあったのですが、獲得数はやはり少なかったです。
小さな規模の中で獲得を狙っていくよりも、まずは認知を獲得して規模を広げてからサービスを理解してもらうという流れが、結局一番早くて効率的だと思います。
Instagramにきちんと向き合うなら、長い目で見ることが不可欠ですね。
Instagramのフォロワーは指数関数的に増えていくようなもので、あまり一次関数的ではないんですよね。フォロワーが増えたらエンゲージメントが上がって、エンゲージメントが上がったらフォロワーが増えて、というのがどんどん大きくなっていく構造なんです。最初の数ヶ月は我慢期間が続くのではないでしょうか。
インタビューの締めくくりとして、石井さんが考えるInstagramの将来像について教えてください!
Instagramを通じて、個人と企業の垣根がなくなる方向に進むと思っています。例えばゆうこすさんのように、インフルエンサーとして個人で活躍してから会社を作ったり、商品を販売したりすることが増えていくのではないでしょうか。企業側も、自社のみで商品PRをするのではなく、企業の前にインフルエンサーという個人を立てて商品にパーソナリティをつけることで、より共感を生みやすくする構造が広がると考えています。
企業が個人に寄っていって、個人も企業に寄っていくことで垣根がなくなっていく。そういう意味では、スモールビジネスを始めるチャンスも増えていくと思います。
石井さん、本日はありがとうございました。今後も新たな挑戦をし続けていくLEAN BODYのInstagram運用から目が離せません!
インタビュー:株式会社FinT
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