1万フォロワー突破の銚子市に聞いた、自治体がInstagramに取り組むメリットとアカウントの伸ばし方

世界中で利用され、情報収集のツールとして欠かせなくなったInstagram。日本でも2019年に月間アクティブアカウントが3300万人を突破し、今後も拡大していくことが予想されます。

情報発信や地域のブランディングのために公式アカウントを運用する自治体が増えていますが、なかなかノウハウや知識がなく伸び悩んでいるところも多いのではないでしょうか。

そこで、今回は先日1万フォロワーを突破し、毎回多くのいいねとコメントを獲得する銚子市の公式アカウントにインタビューをし、人気の秘密やInstagramに取り組むメリットを聞いていきたいと思います。

目次

■アカウント設立の背景と目的

■投稿の流れとポイント

■成功の要因と1万フォロワーへの軌跡

■アカウント運用の成果

■今後の可能性と課題

■自治体へのアドバイス

 

■アカウント設立の背景と目的

市役所としてInstagramの公式アカウントを設立することになった背景を教えてください。

きっかけは、スマートフォンで見やすい銚子市の観光サイトの作成でした。
銚子に遊びに来てくれた観光客の方が写真を投稿できるコーナーを作ったのですが、このコーナーを盛り上げるために市でもInstagramアカウントを作って運用していこうという話になりました。

 

どのような目的でアカウントを運用していますか?

最大の目的は女性の観光客の増加です。今まで銚子に観光で来てくれる方々は、年齢層が高めの男性が多かったんです。
若者が多く利用するInstagramを使って情報を発信して、今まであまりアピールできていなかった若い女性にも銚子の魅力を伝えていくことで、観光客の幅を広げていくことが目的ですね。

ただ、ターゲットを若い女性だけに絞っているわけではなく、老若男女全ての皆様に見ていただける投稿を心がけています。

■投稿の流れとポイント

毎日の投稿までの流れや、意識していることを教えてください

写真の撮影からキャプションを書いて投稿するまで、私が1人で担当しています。
悪天候や他の業務で撮影ができない日もあるので、何日分かの写真のストックを準備してあります。

投稿する写真を選ぶときは、
・季節感を感じられるものを積極的に取り上げる
・海、空、魚、農産物など、同じ素材を連続で使いすぎない
・暖色の写真と寒色の写真をバランスよく配置する
といった点を意識しています。

 

■成功の要因と1万フォロワーへの軌跡

先日1万フォロワーに到達し、毎回多くのいいねやコメントが寄せられている銚子アカウントですが、このようにアカウント運用がうまくいってる要因は何でしょう?

まずは、始めたのが早かった点ですね。銚子市は2016年の3月に運用を開始していて、そこから3年半、毎日コツコツ投稿しています。アカウントを伸ばしていくのは時間がかかるので、焦らずに気長に運用していくことが大切ですね。

また、銚子がInstagramと相性がよかったのも大きいと思います。
銚子の魅力は綺麗な海や空、豊かな海の幸や農産物といった、写真映えするものが多いんです。町を歩いていれば撮りたいものがたくさん見つかるので、投稿のネタで困ったことがありません。

 

アカウント開設から1万フォロワー到達までの軌跡を教えてください。

実は、アカウント開設直後はほとんど投稿を見てもらえず苦労しました。
ここで運用を諦めてしまう自治体も多いのではないかと思います。
伸びなくてもめげずに毎日コツコツ投稿を重ねていくことで、ようやく少しずつフォローしてもらえるようになりました。

1万フォロワー到達までの伸び方は、注目度が高まる観光シーズンを除けば、毎日少しずつ地道に伸びてきた感じでしたね。

 

1万人のフォロワーの内訳は、やはり銚子に住む人が多いのでしょうか?

実は市外の人が多いんです。フォロワーの属性を見ると銚子に住んでいる人は20%ほどで、残りは市外の人ですね。
銚子に来たことがある人やこれから観光に来る人、以前住んでいた人など、様々な人にフォローしてもらっているようです。

このようなフォロワーの属性を踏まえて、地元の人にも市外の人にも楽しんでもらえるような投稿を心がけています。

■アカウント運用の成果

アカウント開設から3年半が経って、どのような変化が起こりましたか。

まず、少しずつですが観光領域での成果が見え始めています。
アカウントで紹介した観光スポットの投稿が増えたり、DMで「この時期にオススメの場所はありますか?」といった質問をいただくことがあります。
DMでのやりとりのような、フォロワーさんとの手軽なコミュニケーションはInstagramならではの魅力だと思うので、これからも大切にしていきたいですね。

また、投稿用の写真を撮るためにカメラをぶら下げて町を歩いていると、「もしかしてインスタ担当の方ですか?」と声をかけてもらえることもあります。
アカウントを見てもらえているんだな、と実感できる瞬間があると、思わず嬉しくなってしまいますね。

 

アカウントの運用からオフラインのイベントに繋がったことはありましたか?

普段アカウントを見てくれている人たちと、銚子で女性限定の写真撮影会を開催したことがあります。
カメラを持って銚子の私鉄に乗りながら、銚子の風景を撮影していくというイベントでした。いわゆるオフ会のようなイメージですね。
銚子のアカウントをフォローしていてカメラが趣味ということだけが共通点の、年齢もバラバラの集まりでしたが、これをきっかけに仲良くなったフォロワーさん同士が、後日お茶会をしたり、フォト散歩をしたりと銚子を楽しんでいたようです。

Instagramというオンライン上での情報発信がきっかけで、リアルのコミュニティが生まれていく様子が印象的でした。

写真撮影会の様子

■今後の可能性と課題

今後Instagramを運用していく上で、観光以外の領域でどんなことができそうですか?

今可能性を感じているのは、災害時の情報発信ですね。
今までは市のホームページや配布冊子を利用していましたが、ホームページは普段から見ていない人も多いので、情報を載せても気づいてもらえない可能性もあります。また、紙面の冊子では伝達速度の限界があります。

Instagramを含めたSNSは普段から見ていただけるものなので、災害時にも適切な情報をリアルタイムで届けることができるのではないか、と感じています。

 

アカウントを運用していく中で、公的機関である自治体ならではの苦労などはありますか?

お店や企業の紹介に関しては慎重にやっていますね。
観光情報や市のPRの一環として飲食店や商品の紹介をすることがありますが、やはり市役所として運用している以上、特定のお店や企業だけの利益になるような投稿は避けなければなりません。
とはいえ、「オススメのお店や商品を知りたい」といったユーザーのニーズも多く、それに応えていく必要もあります。

いかに公平性・中立性を保ちながら有意義な情報発信をしていくかが、これから考えていくべき課題ですね。

 

■自治体へのアドバイス

最後に、これからInstagram運用を頑張っていきたい自治体に向けてアドバイスをお願いします。

他の媒体との特徴の違いを分析して、Instagramに適したスタイルで情報を発信していくことが大切だと思います。
例えば、Instagramは写真の投稿がメインのSNSなので、Facebookのように本文でボリュームのある文章を発信してもあまり見てもらえません。
媒体ごとに利用者の年代が異なることにも注意が必要です。

また、SNS運用はすぐに結果が出るものではないので、短期的な指標に振り回されすぎずに、気長にコンスタントに取り組むことが大切です。

今日はお話ありがとうございました!
これからも銚子市の投稿を楽しみにしています!

左から銚子市役所の岩田さん、FinT大山(インタビュアー)、Instagram担当の齊藤さん

 

インタビュー:株式会社FinT

 

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