現在多くのコスメブランドやメディアがInstagramの活用に取り組んでいます。今回は、現在SNS総フォロワー数20万人以上を誇る美容メディアを運用し、オンライン発のコスメブランドも立ち上げたDINETTE株式会社CEOの尾崎美紀氏に弊社CEO大槻祐依がインタビューを行いました。 なぜDINETTEのInstagramはこんなにもユーザーに愛され、信頼されているのでしょうか?
熱量の高いユーザーを巻き込んだSNS運用に興味がある方、必見です!
■メイクに悩む女の子たちがいつでも頼れるメディアDINETTE
株式会社FInT CEO 大槻祐依(以下、大槻) :そもそも何がきっかけでDINETTEのInstagramを作られたんですか?
DINETTE株式会社 CEO 尾崎美紀氏(以下、尾崎) :大学4年生の時に起業して、自分の大好きな美容の分野で何か事業をやろうと考えていたんですね。エンジニアとかでもなくインターン経験もなかったので、自分に何ができるか模索していました。当時はクラシルなどの動画メディアが盛り上がっていた時期で、試しに自分で CANMAKEのアイシャドウパレットで動画を撮ってInstagramにあげてみたところ、意外と 再生数を獲得できたので、これは伸ばせるかもしれないと思って始めたのがきっかけです。
大槻 :メディアとしてのコンセプトは何でしょうか?
尾崎 :身近にいる「頼れるお姉さん」みたいなメディアが作りたかったんですね。
競合他社の動画を色々と見ていたのですが、どこもフォロワー数が多い一方でエンゲージメ ントはそこまで高くないんです。フォロワーがたくさんいても、結局その全員には響いていないよね、と思っていました。なので、DINETTEではフォロワー全員に良いと思ってもらえて、エンゲージメントがしっかり出せるメディアにしようと考えました。
あとは、根本の課題感として美容雑誌が分かりづらいというのもありますね。メイクの悩み は友達同士ではなかなか解決しないし、美容部員も近くにいるわけじゃない。その解決法を届けられる存在として、メイクの裏ワザや新作情報を発信するメディアでありたいです。


大槻 :なるほど、ユーザー目線に立つことがこだわりなんですね。
投稿内容はどのようにして決めていきましたか?
尾崎:他社のコスメ動画を研究して、「再生スピードが速すぎる」や「メイクする上で大事なポイントなのに飛ばされている」といった課題を発見し、それを落とし込んだより良い動画をDINETTEでは載せていきました。リップを塗るシーンはだいたい何秒とか、アイシャドウ」を載せるシーンはアップで、といった細かい指示を出しています。
大槻 :可愛らしい雰囲気の投稿の背景には、そんなに細かい検証があったんですね。
現在は16万フォロワーと、数ある美容系Instagramアカウントの中でもひときわ目立つ存在になっていますが、アカウントを伸ばしていく中での具体的な施策についても教えてください!
尾崎:ファンを大事にして育てるのがポイントですね。 プレゼントキャンペーン企画を時々行っているのですが、プレゼントする商品は毎回フォロワーからのリクエストで決めています。まず、ストーリーズのアンケート機能を使って好きなブランドを5つくらい質問して集計し、人気のあったブランドについてはそれぞれさらに欲しい商品を聞いていきます。
ユーザーに意見を聞かずにDINETTE編集部で商品をピックアップすると、結構好みが偏ってしまう可能性があるんですよ。せっかくキャンペーンをやるならしっかり効果を出したいので、ユーザーから情報収集をしています。
大槻:自分が欲しいと回答した商品がプレゼント対象になったら、絶対に応募しますもんね
他にユーザーコミュニケーションの面で行っていることはありますか?
尾崎 :お悩み相談をかなり力を入れてやっています。「今のメイクで困っていることはありますか?」といった質問をストーリーズで行って、一番多かった回答に関しては投稿のコンテンツに落とし込みますし、投稿で回答しきれないものはDMで返信をすることもあります。
大槻:すごい! DMで何か悩み相談が来ることもありますか?
尾崎:結構来ますね。「高校二年生で今度デートに行くのですが、可愛いリップの選び方が分かりません」や「今度お母さんが誕生日なので、50代でも使えそうなコスメを教えてください」といったメッセージをもらいます。もともと、ユーザーの女の子たちの頼れる存在になりたいと思って始めたメディアなので、友達のように気軽に相談してくれるのはとてもありがたいし、コミュニケーションを大事にしなくてはならないなと思っています。
先ほど紹介したDMの例では、返信でデートにおすすめなリップを教えたところ、それを購入してくれて、デート結果の報告までしてくれたんです。

大槻:感動です…。たった一人の悩みであってもちゃんと向き合い、解決に繋げられるのはものすごく価値があることですよね。
■オンライン発コスメブランドとしての躍進
大槻:美容メディアDINETTEに加えて、コスメブランドPHOEBEも立ち上げていますよね。こちらの立ち上げに至った経緯はどのようなものでしたか?
尾崎:はい、2019年2月に第一弾としてまつげ美容液を発売しました。もともと何かブランドを作りたいと思っていたため、美容メディアからの延長線でコスメブランドを立ち上げることにしたんです。
大槻:よく売り切れになっているのを見かけますし、とても好調な印象があります。どうしてまつげ美容液を売ることにしたんですか?
尾崎:ブランドを育てるために重視したのが、LTV(※)の高い商品を扱うことです。女の子が買いやすいコスメで一番に出てくるのはリップなのですが、一度だけなら買ってもらいやすい一方で、使いきれなくて買い替えも起こりづらいので初期の売上しか作れないと感じていました。 また、ストーリーズ機能を使って「メイクやスキンケアでどこに悩みがありますか?」とユーザーに聞いたところ、1位が目元、2位が顔の肌のケア、3位がボディケアという結果が出たんです。そこで、目元に関する悩みを解決できて、長く使ってもらえる商品、なおかつ市場が伸びているところを探した結果、まつげ美容液を販売しようということになりました。
※Life Time Valueの略。一人の顧客が生涯で企業にもたらす価値の総額のこと。
大槻:Instagramを活用して新製品開発に繋げられたのはさすがです。
コスメブランドの方のInstagramはどのように運用しているんですか?
尾崎:ブランドのアカウント自体では商品紹介と、UGCの活用を行っています。ユーザーは自分の投稿を載せてもらえたら嬉しいので、モチベーションの観点で良いんですよね。あとは、商品とは直接関係ないけれど、アカウントの雰囲気に合うインテリアなどの写真もユーザー投稿からピックアップして利用しています。ハッシュタグや発見タブで投稿を見て、可愛いと思ってアカウントに飛んだらPHOEBEだった、という流れでブランド知名度の向上につなげることを狙っています。加えて、DINETTEのメディアでも新商品のお知らせをしたり、インフルエンサーに商品を配って無料で投稿してもらったりもしました。
大槻:そうなんですね。インフルエンサーマーケティングをするにあたっては、何か気をつけていることなどありますか?

尾崎:商品を投稿する際に、必ずストーリー性を持たせて投稿してもらうようにしています。「まつげ美容液を使ってみました」や「この成分がいいからお気に入り」だけでは、見た人の購買意欲はそこまで高くならないじゃないですか。なので、「①まつげでこういう悩みがあったから、②美容液を使った結果、③こうなりました」という、買いたくなるストーリーを明確にした上で投稿してもらうのをお願いしています。
あとは、商品写真の撮り方に関してもブランドカラーを意識するよう伝えています。なので、PHOEBEのタグ付け投稿を見ても、世界観が統一されるようになっているんです。そうすると、他のユーザーがPHOEBEのブランドの雰囲気をビジュアルで体感してもらうことができるようになります。
大槻:そこまで細かい指示を出して、インフルエンサーからは嫌われないんですか?
尾崎:信頼されるコミュニケーションをずっと心がけてきたんですよね。弊社の場合はDINETTE GIRLSという名前でインフルエンサーさんに協力をしてもらっていて、普段から連絡の量に気をつけながら、美容情報をやり取りしたり、限定イベントに招待したりしています。その分、こちらから商品PRをお願いした時も快諾してもらえることが多いです。長い時間をかけてお互いにとって良い関係を築いてきたのが、今の弊社の強みになっていると思います。
■とにかくSNSを極めて、ユーザーに長く愛されるブランドづくりを目指す
大槻:お話を聞いてきて、ユーザーとのコミュニケーションを大切にしながらInstagramに力を入れていることがとてもよく分かりました。その方針は今後も変わらないですか?
尾崎:そうですね。これまでの既存のコスメブランドは、店頭で商品を知り、気になって購入する場としてECが出てくる流れになっていたんですけど、これからは商品を知る場もオンラインになる傾向が強まると考えています。韓国の3CEやアメリカのGlossierもその消費パターンができていますね。なので、私たちのブランドでも、まずはSNSで発見してもらって接触回数を増やし、そこで離脱させないようにオンラインで購入を完結させるという流れは作りたいです。
大槻:確かにそうですよね。
Instagramがオフラインの購買に与える影響もあると思っています。Instagramで商品を見てから店頭に行き、「あ、これインスタで見たやつだ」と思ってもらった方が購入に繋がる確率は上がる気がしますね。
尾崎:PHOEBEにとっても、それが理想ではありますね。Instagramだけではテクスチャーなどわからないことが多いと思うお客さんも多いですし、一度商品の現物を見てから買いたいという意見をもらうこともあります。
PHOEBEはとにかくSNSを極めて、オンライン発のコスメブランドとして一番に想起されるブランドに育てたいです。日本の場合、アパレルや雑貨ではSNSを積極的に活用しているブランドが多くありますが、コスメはまだあまりないんですよね。SNSの運用の大事さを分かっていないというか、諦めている会社が多い印象があります。
大槻:もっとユーザーとコミュニケーションを取れるはずなのに、全然取っていないアカウントが結構ありますよね。
尾崎:そうですね。せっかくファンがいるはずなのにすごく勿体無いですよね。今の時代、Instagramがアクティブであるというのは、購買を促す上で必須の条件だと思います。PHOEBEもまだまだ頑張っていかなくてはならない部分ですね。
大槻:尾崎さんご自身は、Instgramのプラットフォームが今後どうなっていくと考えていますか?
尾崎:国内のユーザー数は3000万人を超えており、生活に欠かせないツールになっています。今後は個人の情報収集ツールとしてさらに発展していくと思っています。昔はどこか遠出した時の自撮りやランチの写真などをみんな普通にフィード投稿に載せていましたが、最近では本当に減りましたよね。一方で、企業の情報発信やユーザー巻き込み型のPRがどんどん増えている気がします。
大槻:私もそう思います。Instagramは情報収集ツールとしての側面がどんどん強くなってきているんですよね。個人で最適化される発見タブやハッシュタグを通じて、ユーザーはInstagramから新しい情報を仕入れています。従来Google検索で行ってきた探索行動が置き換わり始めていますね。
尾崎:そんな中で、個人がInstagramで投稿して紹介しようと思うブランドって本当にお気に入りのものだけだと思うんですよ。ブランドとしてそのくらい好きになってもらわないとダメですし、ステルスマーケティングのようなノイズが増えているからこそ、際立った存在にならないと「またなんか出たな」で終わってしまいます。なので、今後もブランドづくりとユーザーコミュニケーションには徹底的にこだわっていきたいですね。
大槻:今後のDINETTEとPHOEBEのさらなる成長が本当に楽しみです!
尾崎さん、本日はありがとうございました!
インタビュー:株式会社FinT
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